展覧会の絵 — 絵を音にした名曲と「プロムナード」の楽しみ方
ムソルグスキー「展覧会の絵」は、亡き友人の絵の展覧会を歩きながら一枚ずつ音楽にした作品。絵から絵へ歩く「プロムナード」が繰り返し戻る構成です。ピアノ原曲とラヴェル編曲、両方の楽しみ方を整理します。
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美術館で絵を一枚ずつ眺めながら、ゆっくり歩く——その体験が、まるごと音楽になった曲があります。ロシアの作曲家ムソルグスキーの「展覧会の絵」です。
おもしろいのは、絵から絵へ歩く足取りまで音楽になっていること。「プロムナード」と呼ばれるその旋律が、絵と絵のあいだで何度も戻ってきて、聴いている人を美術館の中へ連れていってくれます。小人、古いお城、魔女の小屋、大きな門——音だけで絵を想像するこの曲は、子どもの想像力にぴったりです。本稿では聴きどころを整理します。
「展覧会の絵」ってどんな曲?
モデスト・ムソルグスキー (1839–1881) は、ロシアの作曲家。ロシアらしい音楽をつくろうとした「五人組」と呼ばれるグループの一人です。
「展覧会の絵」は、1874年にピアノ独奏曲として書かれました。きっかけは、ムソルグスキーの親友だった画家・建築家のハルトマンが亡くなり、その遺作を集めた追悼の展覧会が開かれたこと。深く悲しんだムソルグスキーは、展覧会で見た絵の数々を、一枚ずつ音楽にしていったのです。
つまりこの曲は、「絵」と「友をしのぶ気持ち」から生まれた音楽。絵から絵へ歩く「プロムナード」の旋律は、展覧会を巡る作曲者自身の足取りでもあります。
「絵」の聴きどころ
プロムナード(散歩)
絵と絵のあいだでくり返し戻ってくるテーマ。「次はどんな絵かな」と歩く気分そのもの。戻ってくるたびに少しずつ表情が変わるので、「さっきと同じ?ちがう?」と聴き比べるのが楽しい。
小人(グノーム)
ぎくしゃくと動く、ちょっと不気味でユーモラスな小人を描いた曲。音がカクカク跳ねる感じが、子どもの笑いを誘います。
卵の殻をつけた雛の踊り
生まれたてのひよこが、殻をつけたままピヨピヨ踊る愛らしい曲。高い音でちょこちょこ動く様子が、とても可愛い。
鶏の足の上の小屋(バーバ・ヤーガ)
ロシアの昔話に出てくる魔女バーバ・ヤーガを描いた、迫力満点の曲。鶏の足で歩く魔女の小屋という不思議なイメージで、子どもがゾクゾクします。
キエフの大門
堂々としたフィナーレ。大きくて立派な門を描き、鐘の音まで加わって壮大に締めくくられます。「お話のラスボス登場!」のような盛り上がり。
ピアノ版とオーケストラ版
「展覧会の絵」には、聴き比べの楽しみがあります。
- ピアノ原曲: ムソルグスキー自身が1874年に書いた、もとの姿。一台のピアノで描く繊細さ。
- オーケストラ版: 後にフランスの作曲家ラヴェルが1922年に編曲した、色彩豊かで華やかな版。今、コンサートでよく演奏されるのはこちらです。
同じ曲が、ピアノとオーケストラでどう変わるかを聴き比べると、「楽器の力」を子どもが実感できます。
おすすめの聴かせ方
何歳から
- 4〜5歳: 「ひよこの踊り」「小人」など、短くてイメージが分かりやすい曲を抜粋で。
- 5〜6歳: 「プロムナード」→絵→「プロムナード」と、美術館を歩く流れを意識して。
- 小学生以降: 全曲を通して、ピアノ版とラヴェル編曲版を聴き比べ。「キエフの大門」の迫力で締めくくると満足感大。
絵を描きながら聴く
この曲の最高の遊び方は、音を聴いて、思い浮かんだ絵を描くこと。「いまの音、どんな生き物?」「どんな建物に見える?」と問いかけ、子どもの絵とハルトマンの絵を見比べても楽しい。
関連リンク
- 同じく「音で物語や情景を描く」名曲は /articles/peter-and-the-wolf や /articles/the-carnival-of-the-animals、/articles/the-four-seasons もどうぞ。
- オーケストラ版で活躍する楽器を知りたい方は /articles/orchestra-instruments-guide へ。
- 編曲したラヴェルの「ボレロ」は /articles/bolero-for-kids で。
- 「展覧会の絵」を生で聴けるオーケストラ・ピアノ公演は /events で「オーケストラ」「ピアノ」のタグから探せます。
よくある質問
Q. 「展覧会の絵」は本当に実在の絵がもとになっているのですか? A. はい。ムソルグスキーの友人ハルトマンの作品展で見た絵が題材です。ただし、もとの絵の一部は現在では失われていて、どの絵か特定できない曲もあります。
Q. ピアノ版とオーケストラ版、どちらを先に聴かせる? A. 華やかで分かりやすいラヴェルのオーケストラ版からがおすすめ。気に入ったら、ピアノ原曲で「もとの姿」を聴き比べてみてください。
Q. 「キエフの大門」の門は実在しますか? A. ハルトマンが門のデザイン画を描きましたが、実際には建てられませんでした。ムソルグスキーは、その「絵の中の門」を音で壮大に建ててみせたのです。
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