エルガーを子どもにどう聴かせるか — 威風堂々と愛の挨拶
卒業式でおなじみの「威風堂々」、婚約者に贈られた「愛の挨拶」。どちらもエルガー(1857〜1934)の作品です。独学で歩んだ生涯と、子どもと楽しめる名曲の聴きどころを整理します。
この記事は AI が下書きを作成し、kodomo-ongaku 編集部が事実確認と編集を行っています。参考文献は記事末尾に記載しています。 編集方針
卒業式の入場で流れる、あの荘厳な行進曲。「威風堂々」(Pomp and Circumstance)という曲名は知らなくても、メロディを聴けばすぐに「聴いたことある!」と感じるはずです。これはエドワード・エルガー(1857–1934)が1901年に作曲した行進曲です。
エルガーはイギリスを代表するロマン派の作曲家ですが、音楽院には通わず独学で腕を磨いた人物でもあります。地方の音楽家として長年無名のまま過ごし、42歳で突如「エニグマ変奏曲」でヨーロッパ中の注目を集めました。そんなエルガーの生涯と、子どもと一緒に楽しめる名曲を紹介します。
エルガーってどんな作曲家?
エドワード・エルガーは1857年6月2日、イングランド中部ウスターシャー州ブロードヒースに生まれました。父親は楽器店を営み、教会のオルガニストでもあったため、幼いころからピアノ・オルガン・ヴァイオリンに親しみました。しかし正式な音楽院教育は受けず、楽器の練習・独学の作曲・地元の楽団での演奏で力をつけていきます。
20代・30代は地元ウスターで地道に活動しながら作曲を続けましたが、大きな評価はなかなか得られませんでした。転機は1899年6月、42歳のとき。友人たちをそれぞれ音楽で描いた「エニグマ変奏曲」の初演が大成功を収め、一夜にしてイギリスを代表する作曲家として認められます。
1901年の「威風堂々 第1番」、1910年の「ヴァイオリン協奏曲」、1919年の「チェロ協奏曲」と傑作を次々に発表。1924年には国王ジョージ5世よりイングランドの「国王の音楽師範(Master of the King's Music)」の称号を受けました。
1934年2月23日、ウスターにて76歳で死去。没後もイギリスの音楽文化の象徴として尊敬され、20ポンド紙幣に肖像が使われた時期もあります。
子ども向けの聴きどころ
1. 威風堂々 第1番 ニ長調(行進曲 第1番)
1901年10月19日、リバプールで初演されたこの曲は、ロンドン初演でも観客がアンコールを2度要求するほどの大成功を収めました。
曲は2部構成。前半は力強い行進曲で、金管楽器と打楽器が堂々と前進するような音楽。後半の中間部に「ランド・オブ・ホープ・アンド・グローリー(Land of Hope and Glory)」として知られる壮大な旋律が現れ、ここが最大の聴きどころです。この旋律は1902年にA. C. ベンソンが歌詞を付け、イギリスの第二の国歌ともいわれる愛国歌になりました。
アメリカでは大学の卒業式入場曲として定着しており、日本でも多くの式典で使われます。「大きくて誇らしい気持ちになる」という音楽の役割を子どもに体感させるのに、これ以上の曲はほとんどありません。
2. 愛の挨拶(Salut d'amour)
エルガーが1888年、婚約者のアリス・ロバーツへのプレゼントとして書いたヴァイオリンとピアノのための小品(作品12)。後に様々な楽器編成に編曲され、ヴァイオリン独奏・弦楽合奏・管弦楽版など幅広い形で演奏されています。
甘く温かい旋律が流れるように続くこの曲は、長さも約3分と短く、初めてクラシックを聴く子どもの入り口として最適です。「好きな人へのプレゼントとして書いた曲」という背景を伝えると、子どもが曲の意味を感じ取りやすくなります。エルガーの代表作の中ではもっとも親しみやすく、コンサートのアンコールでも頻繁に演奏されます。
3. エニグマ変奏曲(謎の変奏曲)
1898年から1899年にかけて作曲し、1899年に初演された管弦楽曲(作品36)。「エニグマ(謎)」という副題の由来について、エルガーは「主題の裏に、ある別の旋律が隠されている」と語りましたが、その「謎の旋律」が何かは作曲者が明かさないまま亡くなったため、今日も研究者の間で議論が続いています。
全14の変奏から成り、それぞれが「エルガーの友人たちの肖像」になっています。第9変奏「ニムロッド」は荘厳で感動的な音楽として有名で、イギリスでは追悼式などで演奏される機会も多い曲です。
子どもには「作曲家が友達の一人ひとりを音楽で描いたんだよ。どんな人がいたんだろう?」と話すと、各変奏を「キャラクター探し」として聴けて面白さが増します。
おすすめの聴かせ方
何歳から
- 3〜5歳:「愛の挨拶」をBGMとして流す。短く穏やかなメロディが子どもの生活に自然にとけこみます。
- 6〜8歳:「威風堂々 第1番」を卒業式や運動会の話題と結びつけて聴く。「どこで聴いたことがある?」と話し合うきっかけになります。
- 9歳以降:「エニグマ変奏曲」の第9変奏「ニムロッド」から入り、全曲に挑戦する。各変奏のキャラクターを推測しながら聴くと集中が続きます。
「知っている曲」から入る
「威風堂々」は多くの子どもが学校行事などで耳にしている曲です。「あの入場の曲、作った人がいるんだよ」という一言から始めると、作曲家への興味がごく自然に広がります。
コンサートに連れて行く
エルガーの作品はイギリスのオーケストラが得意とするレパートリーであり、日本のプロオーケストラも積極的に取り上げます。「威風堂々」はアンコールとして演奏されることも多いので、子どもと一緒に管弦楽コンサートに行く際に「最後に聴けるかもしれないよ」と話しておくと、楽しみが増えます。
関連リンク
- 同じイギリスの作曲家として ホルスト の記事もあわせてどうぞ。
- 同じロマン派の ブラームス の記事や 威風堂々の単独解説 もご覧ください。
- 子ども向けオーケストラコンサートは /events で「ファミリー」「クラシック」のタグから探せます。
- 演奏家の情報は /performers からどうぞ。
よくある質問
Q. 「威風堂々」は何曲ありますか? A. 行進曲「威風堂々」は全5曲(作品39)あります。もっとも有名なのは第1番ニ長調で、第1番〜第4番は1901年から1907年に作曲され、第5番は1930年に完成しました。
Q. 「エニグマ(謎)」の答えはわかっているのですか? A. エルガーは「主題の裏に別の旋律が流れる」と語りましたが、それが何かは明かしませんでした。スコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」(「蛍の光」の原曲)など様々な仮説がありますが、現在も確定的な結論は出ていません。「謎のある音楽」として楽しむのもクラシックの醍醐味です。
Q. 「愛の挨拶」は何の楽器で聴くのがベストですか? A. もともとはヴァイオリンとピアノのために書かれましたが、チェロ、弦楽合奏、管弦楽版など多くの編曲があります。どれも素敵ですが、初めて聴くならヴァイオリンとピアノの原曲版が、エルガーが書いた音に最も近いです。
Q. エルガーは本当に独学だったのですか? A. 基礎的なピアノや楽器の指導は父から受けましたが、音楽院での体系的な教育は受けていません。楽典や作曲は本と実践で独習し、地元の楽団でヴァイオリンを弾きながら腕を磨きました。「独学でイギリス最大の作曲家になった」という経歴は珍しく、今日でも語り継がれています。
Q. チェロ協奏曲は子どもに聴かせられますか? A. 1919年初演のエ短調チェロ協奏曲は、エルガーが晩年に書いた内省的な傑作です。初演は失敗に終わりましたが、後に再評価されました。子どもには少し沈んだ雰囲気が難しく感じることもありますが、チェロの音色に興味を持つ小学校高学年以上なら、じっくり向き合える作品です。
近くの公演を探す
都道府県別に、子ども向け・親子向けの音楽公演をまとめています。
地域から公演を探す →