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作曲家

ラヴェルってどんな作曲家? — フランスの完璧主義者

繰り返し続けるボレロ、子どものために書かれたマ・メール・ロワ(マザーグース)、亡き王女のパヴァーヌ……モーリス・ラヴェルは「音の職人」と呼ばれる、こだわりが強くて精緻なフランスの作曲家です。子どもが楽しみやすい名曲と聴きどころをまとめます。

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「同じリズムと旋律が繰り返されながら、音がどんどん積み重なっていく」——ボレロの構造を言葉で説明すると単純に聞こえますが、実際に聴くと15分以上聴き続けてしまう不思議な引力があります。この曲を書いたのが、モーリス・ラヴェル(1875-1937)です。

ラヴェルは「音の職人」と呼ばれるほど精緻な作りにこだわった作曲家。一方で友人の子ども(当時6歳と7歳)のために童話をモチーフとした曲を書くという、温かくて遊び心ある一面も持っていました。その多彩さが、子どもにも大人にも愛される理由の一つです。

ラヴェルってどんな人?

ジョゼフ=モーリス・ラヴェルは1875年3月7日、フランス南西部のシブールで生まれました。シブールはスペイン国境近くのバスク地方の小さな港町。父親はスイス出身のエンジニア、母親はバスク系の女性で、ラヴェルは生涯バスクの文化に特別な愛着を持ち続けました。

家族が音楽に理解があったこともあり、幼いころから音楽教育を受けます。1889年、14歳でパリ音楽院(コンセルヴァトワール)に入学し、1905年まで学びました。在学中には卒業試験で繰り返し不合格となるなど波乱もありましたが、その間も精力的に作品を発表し続け、独自のスタイルを確立していきます。

当時のフランスでは印象主義の作曲家ドビュッシーが台頭していましたが、ラヴェルは印象主義に分類されることもあれば、よりはっきりした構造を好む古典的な側面も持っていました。**「ドビュッシーとは似て非なる、独自の位置に立つ作曲家」**というのが現在の評価です。

1937年12月28日、パリで亡くなりました。62歳でした。晩年の約5年間は脳疾患による失語症(話すこと・書くことが困難になる状態)に苦しみ、音楽を構想する能力は残りながらも作曲できなくなった、という悲劇を経験しました。

子ども向けの聴きどころ

1. マ・メール・ロワ(マザーグース)

ラヴェルが友人の子ども(当時6歳と7歳の兄弟)のために書いたピアノ連弾曲が原型で、1910年4月20日にピアノ版が、1912年1月29日にバレエ版が初演されました。

もとになった童話は、シャルル・ペローの「眠れる森の美女」「親指小僧」、マダム・ド・ボーモンの「美女と野獣」などのフランスの童話。子どもが知っている物語の世界が、やさしい音色で広がります。

特に「美女と野獣の対話」は、低い音(野獣)と高い音(ベル)が会話するように進む構造が分かりやすく、小さな子どもでもストーリーを感じながら聴ける入門として優秀です。最後の「魔法の庭」は幻想的で穏やかな雰囲気で締めくくられます。

2. 亡き王女のためのパヴァーヌ

1899年に書かれたピアノ曲(後に管弦楽に編曲)。「パヴァーヌ」とはルネサンス時代の穏やかな宮廷舞曲の形式名。「死んだ王女の葬列」ではなく、「スペイン宮廷で王女が踊るパヴァーヌを想像した」とラヴェル自身が述べています。

静かで美しいメロディーが哀愁を帯びながら流れる約6分の曲。管弦楽版のホルンの旋律は格別で、「クラシックって美しい」と感じてもらいやすい作品の一つです。

3. ボレロ

1928年作曲、同年11月22日にパリ・オペラ座(ガルニエ宮)で初演された管弦楽曲。15分以上にわたって同じリズムと旋律を繰り返しながら楽器と音量を積み上げていくという独特の構成で、世界中で愛されています。

構成の面白さや楽器の音色の違いを聴く入門として最適。詳しくは ボレロ解説記事 をどうぞ。

4. 子どもと魔法

1925年に初演された歌劇(抒情的幻想曲)。いたずらっ子の男の子が、壊した時計や茶碗、猫、庭の木々たちに反省させられるという物語で、台本はフランスの作家コレットが書きました。子どもが主人公の歌劇として親しみやすく、上演時間が約45分とコンパクトなのも特徴です。音楽の遊び心と詩情が同居した、ラヴェルらしい傑作です。

ラヴェルの音楽の特徴

ラヴェルをひとことで言うなら、「精密で色彩豊かな音の職人」。楽器の組み合わせや音色の使い方に独自のセンスがあり、「このキラキラした感じはどうやって出しているのだろう?」と思わせる魔法のような響きを持っています。

また、バスク・スペインへの憧れから、スペイン風のリズムや旋律を取り入れた作品も多く、「ラ・ヴァルス」「スペイン狂詩曲」なども知られています。こだわりの強さゆえに作品数はそれほど多くありませんが、残した曲はどれも高い完成度を誇ります。

聴き始めのヒント

  • 未就学〜小学低学年: 「マ・メール・ロワ」の「美女と野獣の対話」から。童話を知っていると入りやすい。
  • 小学生以上: 「亡き王女のためのパヴァーヌ」で「クラシックの美しさ」を体感。
  • 楽器に興味が出てきたら: 「ボレロ」で楽器の音色が次々と変わるのを聴き比べる。

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よくある質問

Q. ラヴェルはフランス人ですか? A. はい、フランスの作曲家です。父親がスイス出身、母親がバスク系で、出身地もバスク地方の町ですが、パリで学びパリで活躍した「フランスの作曲家」です。

Q. ドビュッシーとラヴェルはどう違うの? A. ふたりとも同時代のフランス人作曲家で、音色の美しさを大切にする点では似ています。ドビュッシーはより「曖昧で流れるような」感じ、ラヴェルはより「明確な輪郭と構造」がある、と一般に言われます。どちらが好みかは人それぞれです。

Q. 「ボレロ」はどうして人気なんですか? A. 同じリズムと旋律を繰り返すというシンプルな構造なのに、楽器と音量が少しずつ変わっていくことで最後まで聴かせてしまう——その不思議な引力が理由です。「一度聴いてみれば分かる」曲の代表格です。

Q. マ・メール・ロワはピアノで弾けますか? A. 原曲はピアノ連弾(2人で1台のピアノを演奏する形式)です。難易度は比較的弾きやすい部類で、子どもと大人のペアで挑戦しやすい曲です。管弦楽版も美しく、聴くだけでも十分楽しめます。

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